コーキングについて
コーキングとは
水密・気密を目的として目地や隙間(すきま)などに充填(じゅうてん)する、合成樹脂または合成ゴム製のペースト状(のり状)の材料で、外装材のジョイント部やサッシ回り・ガラスのはめ込み部などに用いられています。
これらを総称して、コーキング材、またはシーリング材と言います。
目地とは、建物の外壁などを接近して見ると壁をいくつかに分割した大きさに縦と横のラインがあるのが分かります。
このラインを一般的に目地と呼んでいます。この目地に詰めてある防水性の詰め物がコーキング材です。
コーキング材は建築物の構造上どうしても発生する隙間を埋めるために必要なものです。
外壁の素材(サイディングなど)が温度や湿度の変化によって伸び縮みしたり、あるいは地震や風圧によってたわんだり、位置がずれたりする動きに追随し、気密性や防水性を確保しなくてはなりません。
ですので、コーキングは建物にとってとても重要です。
このコーキング材には大別して2つあります。
- 形状があらかじめ定まっている定形のもの、またはガスケットと呼ばれるもの
- 形状が定まってない、すなわち目地に詰める段階ではペースト状で詰めたあとしばらくたつとゴム状に変化(硬化)する不定形のもの
とがあります。この不定形材のことを一般にコーキング・シーリング材と呼んでいます。
また、不定形シーリング材の中でも、『1成分形』と『2成分形』とに分類されます。
塗装工事でのコーキング周りでのトラブルは多いので慎重に作業したいところです。
塗装完了後、一年もたたないうちにコーキングの上だけ黒くなることもあります。
これはコーキングをいつまでもやわらかくするために配合されている可塑剤というものがコーキングの上に塗装したプライマーや上塗り塗料へ溶け出しいつまでもベタベタしたような仕上がりになってしまい、ほこりやゴミが付着するためです。
コーキングが硬化した後に可塑剤のにじみを止める専用プライマーを塗布することで防ぐことができます。
2面接着について
建物は温度変化などにより若干ゆがみや、動きが生じますので、この動きについていけるような打ち方をしなければなりません。
特に重要なのは窓開口部より縦目地です。
住宅建築においては、外壁目地部でのシーリング材は
、2面接着を確保するのが基本です。
2面接着という表現を外壁の目地で説明しますと
目地には、横2面、底1面の計3面のシーリング材の付着面があります。
コーキングをそのまま充填しますと目地底と側面2面の3面接着になってしまいます。
この底面の接着をしない、させない接着方法が2面接着です。
その為に、底面にはバックアップ材やボンドブレーカーを挿入するわけです。
2面接着するために、深い目地であればバックアップ材を又、バックアップ材を入れられない浅い目地の場合はボンドブレーカーを目地底に貼ることによって三面接着を防ぎ、二面接着することが出来ます。
バックアップ材はコーキングの節約にもなりますので多くの業者は使用してると思います。
ですが、
浅い目地の場合ボンドブレーカーまで使用してくれる業者は残念ながらかなり少ないです。
ボンドブレーカーの存在自体知らない業者が多いので・・・
コーキング打ち替えの場合、既存のコーキングを撤去する際に目地底に貼ってあるボンドブレーカーまで一緒に剥がれてきたりしますので、新たにボンドブレーカーを貼る必要があります。
重要なことですので、しっかり施工したいものです。
もし、バックアップ材やボンドブレーカを挿入せずに、横2面と直接目地底部の外壁下地面等(横2面と一体化している部位)の3面をシーリングで接着してしまうと、目地部の伸縮にあわせて適度に動けなくなります。
横2面なら引っ張り合うだけで目地部の伸縮にも何とか適応して
シーリング材も切れたりしないのですが、3面になると引っ張り合っているところに、さらに下から引っ張られるので伸び許容の限界を超して、切れたり、破断してしまいます。
コーキングプライマーについて
低価格で請け負ったり、下請け業者などが手間を省くために省略してしまう会社もありますが、
重要な工程ですので省くわけにはいきません。
プライマーを塗布するかしないかでは、接着力に大きな差があります。
コーキングを撤去した後や、サイディングの切断面は粉っぽいのです。
ほうきでさっと粉を落としても、テープを貼ってみるとすぐ剥がれてしまいます。コーキングも同じことだといえます。
プライマーを塗布した部分はその日のうちにコーキングを打たなければプライマーの能力は激減してしまいます。
当日打つ場所以外は塗らないように心がけて仕事をしなければいけません。
次の日続きを打つ場合ちゃんとした仕事をするには、またプライマーからはじめなければならないので、2度手間にもなってしまいます。
しかしコーキングは建物にとって重要な部分ですので、手間がかかってもしっかり施工せねばなりません。
コーキング後のプライマー (可塑剤移行防止プライマー)
コーキングや内装壁に良く使われてるビニールクロスには可塑剤というものが配合されてます。
この上に直接塗装しますと可塑剤が上塗り表面に移行しましてベタベタいつまでも乾かないような仕上がり面になります。
塗装完了後、1年もたたないうちにコーキングの上だけ黒くなることもあります。
これはコーキングをいつまでもやわらかくするために配合されている可塑剤というものがコーキングの上に塗装したプライマーや上塗り塗料へ溶け出し、ほこりやゴミが付着するためです。
コーキングの上に塗装する場合もシープラ・逆プライマーなど特殊なプライマーを塗布する必要があります。
しかし、
この材料は知らなかったり、知っていても手間がかかるため使わない業者もいます。
せっかく塗り替えして綺麗になったのに、一年後にはコーキングの部分のみ黒ずんでるってのも寂しいものです。
手間でも手は抜けない作業です。
また、内装の壁に貼られているビニールクロスにも可塑剤が含まれています。
ですので、可塑剤を止める成分の入っているクロス専用の塗料を使わなくてはならないです。
コーキングの種類
コーキング材(シーリング材)にもいろいろ種類があります。
シリコン系シーリング材
優れた耐久性をもち、価格も安くホームセンターでも手軽に入手可能です。また耐水性・耐熱性もあり浴室やキッチン、トイレなどで使われています(商品により防カビ仕様もあるので最適です)。
ただし、ホコリがつきやすく汚れてきます。
このコーキングには透明なものがあり設備業の方がよく使っています(換気フードやエアコンのダクトなど外壁に穴をあけてつけた器具のまわりなどでよく見られます)。
ですが!
最初は目立ちませんが年月がたつと先述とおり汚れてきます。
また、このシリコン系シーリング材は塗料との相性がとても悪いです。ですから、この材料が多く使用されている建物の塗り替えは大変です。
もちろん、まったくできない訳ではありません。専用プライマーを塗布すれば塗装可能な場合もあります。
ですが、塗料との密着性は100%ではありません。
- おすすめ使用箇所
・浴室、洗面所、キッチンなどの水回りなど。
・内装タイル目地
※ 外壁のクラックやシーリングの亀裂等をご自身で直そうとする場合、このシーリング材はおすすめできません。
塗料との相性は最悪ですので、ご注意してください。
変成シリコン系シーリング材
基本的にはシリコン系シーリング材とほぼ同じ性質を持つシーリング材です。
ただし、耐水性や耐熱性はやや劣りますが、塗装が可能です(塗料により若干、はじき・ベタツキが発生することもあります。
このシーリング材もホームセンターなどで入手可能です。価格はシリコン系よりも高いです。
サイディング仕様の家の目地に使われているシーリング材はこれです。
ノンブリードタイプのものもあり、塗装後の汚染が少ないです。
DIYで内外装目地への施工、クラック(ひび割れ)補修にはこちらを推奨します。
- おすすめ使用箇所
・一般建築物の内外装の目地、
・モルタル、コンクリートの目地およびクラック(亀裂)、タイル目地
・各種屋根材、各種金属の目地、接合部のシール
ウレタン系シーリング材
耐久性の高いシーリング材のひとつ。
硬化後はゴム弾力性を持ち、クラック補修や目地の補修に使用されます。
ただし、紫外線に弱いので露出目地やガラス廻りには使用できません。
あくまでも、塗装することが大前提となります。
ノンブリードタイプのものもあり、塗装後の汚染が少ないです。
また、アルコールと反応すると硬化不良が発生するので、アルコール類を発散させる材料やシリコン系シーリング材との同時使用は不可です。
アクリル系シーリング材
硬化すると弾性体になり湿った箇所にも使用可。
主に新築時のALCのパネル目地などに使用されますが、耐久性がありません(肉やせが大きい)。
ですので、塗装可能ですが、リフォーム等ではほとんど使いません。
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