塗装の基礎知識
塗り替え周期について
- 理想的な塗り替え周期は、外壁・屋根が6年〜10年 ほど、
木部・鉄部・トタンなどで3年〜7年ほどです。
施されている塗装や素材の質によって異なり,陽当たりや風通しなど,立地条件によって劣化の仕方にかなりの違いがありますので,年数はあくまでも目安です。
塗装が劣化してくるとこんな症状が出てきす。
ツヤが無くなってきた
色が褪せてきた
触ると手に粉が付く
汚れやヒビ割れが目立つ
剥がれてきた
カビやコケがはえてきた
錆びが出ている
このような状態が塗り替えのサインです
建物は 塗料の膜によって,色彩を与えられると同時に,保護されています。
塗装は、紫外線や雨風、熱などの影響から建物を守ってくれています。
建物の身代わりになる為に施されているということです。
塗装が劣化して寿命が尽きる前に,再び塗装を施すことによって,建物自体が長生きできます。
それが塗り替えの大きな目的です。
塗装の保護機能が失われると素材そのものが傷むこととなり,塗るだけでは済まくなってしまったら修繕の必要な度合に応じて工事が高額になってしまいます。
住宅としての機能が低下し、資産価値なども低くなります。今現在の住宅のほぼすべては外壁の塗装が必要です。
早め早めの定期的なお手入れが建物を長持ちさせるコツです。
気になるポイント説明
- 施主様が塗替えを意識されるポイントは
- ツヤが無くなってきた
- 色が褪せてきた
- 汚れ・触ると手に粉がつく
- ひび割れ・剥がれが目立ってきた
- カビ・コケが生えてきた
- 錆が出ている
・・・だと思います。
そのポイントを簡単に説明させていただきます。
汚れ
「汚れ」は建物そのものにダメージを及ぼすわけではありませんが,塗り替えを依頼される大きな理由になってます。
“保護”だけでなく“美粧”もまた塗装の大きな目的ですから,“保護膜”としては問題がなくても,汚れればキレイにしたくなるのが通常の感覚だと思います。
あと、「汚れ」の一種ともいえる「カビ」の発生もあります。
「カビ」や「コケ」などが発生しやすいのは湿気が多く溜り易い場所です。
このような場所で塗装の保護機能が失われると湿気が浸透しやすく建物の素材そのものが腐食してきやすくなるので、お早目に「防カビ性」の高い塗料を塗る事をおススメします。
変色
「変色」(あるいは褪色)は,濃い色が薄くなる場合と,薄い色が濃くなる場合があります。
元の色から単に薄くなったり濃くなったりするわけではなく,白が黄色っぽくなったり,茶色が紫に近い色に変わったりするので違和感が生じます。
高耐候の塗料を塗ったとしても濃い色や鮮やかな色はどうしても変色が目立ちます。
ヒビ割れ
「ヒビ割れ」は塗装が劣化して塗膜の表面に細かく生じる場合もありますが,施主様がよく発見するのは主に建物自体を原因とするひび割れです。
建物にダメージを与えますので処置が必要す。
あと、外壁がサイディングの場合は複数の板を張り継いで出来ているので,建物の歪みや振動,熱による収縮によって,サイディング同士の継目が動きます。
そこで,柔軟性のあるコーキングを充填して,動いても割れないようにしてあるわけです。
そのコーキングは塗膜と比べ劣化が早く「ヒビ割れ」や「裂け」てきます。この症状がでてきますとその「割れ」から雨水などが入り建物自体に湿気を溜めやすくなりますので、やはりお早目の打ち替えをおススメします。
剥がれ
「剥がれ」が生じる段階は,塗膜の状態としては重症であり,その周囲の剥がれていない部分も密着性を失っている可能性が高いので,十分な下地処理を行わないと,塗り替えても再び剥がれやすいです。
また,剥がれが生じたままの期間が長いと素材そのものがかなり傷んでいる場合もあります。
錆び
「錆び」は放置すると徐々に広がりますから,早期のお手入れが必要です。
腐食して表面が凸凹になったり,穴が開いたりしたら,塗装しても元には戻りません。
外壁素材について説明
サイディングボード
サイディングボードとは耐火性に優れたパネル壁材の総称です。
色柄などデザインがとにかく豊富、タイル風、石積み風、板張り風など、一目みただけでは本物のような風合いを持つ商品もあり、洋風、和風、好みに合わせて選んでいただけます。
比較的安価なため、多くの住宅の外壁として使用されている壁材です。
サイディングには大きく分けて、窯業系・金属系の2種類があり、最も一般的に使用されているのは窯業系サイディングボードです。
- 窯業系サイディング
基材のセメントと繊維質材料を高温・高圧で成型したもので、色・柄・パターンも豊富で、最近はタイルがらなどの高意匠な模様が主流です。
窯業系サイディングには,工場塗装済みのものと,新築時に現場塗装で仕上げるための「無塗装板」とよばれるものがあります。
工場塗装のものは近年塗装の質をグレードアップしたものが出てきているようですが,多くのものはあまり高耐久ではない塗装が施されているようです。
「無塗装板」の現場塗装でも新築時に特に塗料を指定されない限りは安価な仕様が主流になってます。
5〜7年でのコーキング打ち替えなどを、7〜8で再塗装が必要といわれています。
- 金属系サイディング
金属系サイディングはガルバリウム鋼板やアルミニウム合金など錆びにくいものもありますが,汚れと無縁ではありえず,塗装が施されている以上は,その劣化が美観を損なうためいずれは塗替えを行うことになるでしょう。
カラー鋼板のサイディングの場合はいずれ錆びてきます。トタン同様薄い素材ですので、早めの塗装が理想です。
サイディングのコーキングにはご注意ください!
年々多く見られるようになったサイディングですが、目地のコーキングには注意が必要です。
サイディングは常に乾湿繰り返す、硬化収縮がとても激しい部材なのです。そして、その硬化収縮の動きを吸収しているのが、目地に充填されているコーキングです。
外装材のなかでもサイディングは、特にその動きが大きい為、当然コーキングの劣化も早い傾向があります。
外壁が劣化していないが、コーキングだけは劣化して隙間が開いているという現象は多く見られます。
その隙間から雨水などが侵入し、内部に湿気がたまりサイディン自体が痛む原因になってしまい、痛み具合により修繕費用が高額になってしまいます。
コーキングは建物にとってとても重要なので早期のお手入れが理想です。
木造モルタル外壁
モルタルとは、砂(細骨材)とセメントと水とを練り混ぜて作る建築資材のことで、コンクリートとの違いは、砂利(粗骨材)が入らないことです。
モルタル壁は吸水乾燥を繰り返すことや振動などでヒビ割れが入りやすく、放置しておくと雨水等が入り込み住まいを劣化させます。
また、吸水性が高いため、湿気の多い場所ではカビが発生しやすいです。防カビ性・防水性の高い塗料がおススメです。
ALC
ALCの正式名称は「軽量気泡コンクリート」といい,「軽石」のようなものです。
ALCはコーキング(シーリング)が施されたパネルの継ぎ目で建物の動き・歪みを吸収する構造になっているので,それ以外の部分にひびが入ることは少ないです。
耐火性・断熱性は高いですが、吸水性のある素材ですから,塗装による防水性が失われて,浸み込んだ雨水が芯の鉄筋・金網にまで達するようになるとたいへんモロいです。
トタン
トタンとは,薄い鉄板に,亜鉛をメッキしたもので,ブリキとは,薄い鉄板に,スズをメッキしたもので、トタンよりブリキの方が錆びやすいです。
錆びがひどい状態ですと、錆びを落としたり錆びにくくする為の施工に普通より手間がかかってしまいますので、工事価格が多少高くなってしまいます。
錆びたまま放置しておくと穴が空いてしまったり、塗装では修復できなくなりますので張り替える事になってしまいます。
錆びてきたら早目の塗装をおススメします。
屋根素材について説明
日本には色々な種類の屋根材があります。
大きく分類すると、スレート系屋根材、金属系屋根材,瓦系屋根材とに分かれます。
- スレート系屋根材 ⇒ カラーベスト、波型スレート
- 金属系屋根材 ⇒ トタン(波型・折板・瓦棒など)
- 瓦系屋根材 ⇒ 瓦(いぶし瓦・陶器瓦)、セメント瓦、モニエル瓦
スレート系
- カラーベスト(コロニアル)
カラーベスト(コロニアル)とは、砂・セメント・石綿(アスベスト)を高温圧縮したスレート素材の表面に防水塗料を塗った屋根材です。
※最近では無石綿の安全な製品が発売されています
カラーベストは雨や太陽熱・紫外線などの影響により表面の防水塗膜が痛んでスレート素材がむき出しになり白っぽく見えてきます。このような状態になれば再塗装が必要かと思われます。
さらに放置すると雨水を吸い込み、晴天時には雨水を吐き出す。このことの繰り返しにより素材が反ったり割れたりしてきます。
カラーベスト屋根塗装後は、上下重なり部分に塗料が溜ってしまうため、縁切りを必ずしなければなりません。 - 波型スレート
綿とセメントを主原料として波型に形成された材で、屋根葺き材です。石質の薄い板の総称で屋根や内外装などに使用されます。
天然の粘板岩や頁岩を使った天然スレートと人工の石綿セメントスレートがあります。
&br;スレートは吸水性のあるため、水アカ・コケ・藻などが発生しやすく腐食して表面に凹凸ができたり、素材を痛めやすいです。
金属系屋根
波型・折板・瓦棒など色々な形があります。
外壁材のトタン同様、錆びてきます。錆びたまま放置しておくと穴が空いてしまったり、凹凸ができたり、塗装では修復できなくなります
だだ、外壁と違い、屋根は陽射し・雨・夜露をマトモに受けるため,たいへん条件が厳しいところです。
ですので外壁より錆びが発生するのが早いです。
瓦系屋根
- いぶし瓦・陶器瓦
- いぶし瓦は瓦を焼く過程でいぶして炭素幕を形成したもの(瓦全体が銀黒っぽい色)で、主に純和風の建物に使われてます。
年数が経つにつれて表面の銀箔が取れて粘土の色が黒くなってきます。あと、ゼニコケなどのコケ類が発生しやすくなります。
- 陶器瓦は釉薬をつけて焼いたもので、いろいろな色があります。
最近では和瓦や洋瓦など、その他多数の形状があります。
年数が経つと表面膜に細かなヒビ割れが出てきます。
以外と知られてませんが、いぶし瓦も陶器瓦も、どちらも塗装可能です。陶器瓦は各色お選びいただけます。
- セメント瓦
セメントと川砂を重量比1:2〜1:3で固練りに混ぜたモルタルを型に入れて 成形したもので、形状により和形、洋形、平形等の種類があります。
セメント瓦もカラーベスト同様に、それ本体には防水性能がほとんどありません。 また塗料で着色するので、どんな色にもすることが出来、家の形や壁の色合わせて 変えることが出来ます。
ただ、経年によってセメントの劣化が進み、瓦が 『スカスカ』になり、色落ちし、表面が劣化してきます。
- 乾式コンクリート瓦
乾式コンクリ−ト瓦には- 旭セメントのスカンジア瓦
- 日本モニエルのモニエル瓦
- クボタのクボタ洋瓦
という3代銘柄があります。
乾式コンクリート瓦は経年変化により、表面の着色セメント層が傷んできます。 この着色セメント層のことをスラリー層『ドロドロとした粥状の層』と言うのですが、 水に濡れると、ドロドロした粥状になります。
以前はこの上に塗装をすると剥がれ等が起きるトラブルが多く、乾式洋瓦には塗装が出来ないとの見解でしたが、近年モニエル瓦専用の塗料がメーカーから出始め、塗装可能となりました。
乾式コンクリート瓦へ塗装する際は、高圧洗浄を入念にしておかないと密着不良をおこし、剥離の原因になるので注意が必要です。
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